10月21日 第三十五夜

こんな夢を見た。


男の首を切らねばならない。
なんの罪だったか。責められている男は、私の知り合いらしい。
その男の首を、切ったと見せかることにした。


時間がない。土牢の柵の向こう側から、男が声をひそめて何かを告げる。そうして白い布で重しを包んで自分の首に見せかけたものを、慌てた様子でこちらに差し出す。私はそれを片手に抱え、片手では女の手を引いて、一目散に走り出す。女は白い花嫁衣装を着ている。男の恋人らしい。


やがてすべての事態を知った大勢の人びとが、私たちを追いかけてきた。必死に逃げる足が重く、なかなか前にすすまない。女の手を引き闇の中を走る私自身は、女なのか、男なのか。よく分からない。分かるのは、どうやら自分が罪人らしいということだけだ。


以下略。


夢十夜の稽古はつづく。