12月5日 Had I but time...

もう今週末の稽古も終わりにさしかかり、残すは来週の稽古のみという日曜日の8時頃。

このままでは間に合わんのではないか、という空気が漂った。久しぶりに、ぴりぴりきた。無理をしてでも、平日の稽古を増やすしかないということになった。役者たちの体力が心配だ。だが、やるしかない。誰が欠けても劇はできない。

今日の稽古はあと1時間と少し。とにかくやろう、という演出の声とともに再び稽古開始。余分なことを話す気分ではなくなった。そんな時間はない。台詞と、演出の声と、それだけがあればいい。


そして稽古が終わり、演出曰く、ようやく劇が見えてきた、とのこと。

よく分からない。でも演出がそういうなら間違いないだろう。
何となく、後半部分にも、気持ちよく泳げる舞台の水が少し流れてきた瞬間はあったような気はする。そこはとても澄んでいて、自分から泳ごうとせずとも勝手に泳がされてゆく。そういう瞬間も少しあるものの、でもまだまだ、水のない乾いた地面でばたばたすることが大半だ。劇全体を通して、舞台に気持ちよく泳げる澄んだ水がひろがるといいと思う。
それは残された稽古のなかでの、団員一人ひとりの沈黙や気概から生まれるのだと思う。限られた時間のなかだからこそ、劇は輝くのだと思う。