学生の劇のゲネプロを観に行ってきました。

翌日に本番をひかえた稽古場の様子は、国が違っても同じです。ぼんやりと灯るライトのなかで、演出はしきりに指示を出し、役者はそれぞれの台詞を繰り返し、スタッフは慌ただしく動きまわる。その張りつめた空気やざわめき。それは舞台に関わるものなら誰もが知っている、高揚感とスリルに満ちた悦びのひとときです。

けれども私は、もっとしずかで密やかな稽古場も知っています。

公民館の奥まった狭い部屋で、わずか数名の役者が一列に並び、ただひたすら歩いていく。鏡がわりに姿を映す窓の向こうは暗闇で、聞こえるのは、足袋が床をこするかすかな音だけです。

自分で歩いていくというよりは、夜に動かされていく感覚。あの深いしずけさ。

運歩月間、がんばってください。